猫伝染性腹膜炎(FIP: Feline Infectious Peritonitis)とは、猫コロナウイルス(FCoV)が体内で変異して発症する致死的な感染症です。かつては「不治の病」とされていましたが、近年は抗ウイルス薬による治療の可能性が広がっています。
FIPの原因は猫コロナウイルス(FCoV)です。このウイルス自体は多くの猫が保有しており、通常は無症状か軽い下痢を起こす程度です。しかし、猫の体内でウイルスが変異するとFIPウイルス(FIPV)となり、致死的な炎症を引き起こします。
FIPには「ウェット型(滲出型)」と「ドライ型(非滲出型)」の2タイプがあります。ウェット型は腹水・胸水が溜まるのが特徴で、進行が速いです。ドライ型は内臓に肉芽腫が形成され、症状が多岐にわたるため診断が難しいです。
近年、GS-441524やモルヌピラビルなどの抗ウイルス薬によるFIP治療が世界中で研究・実施されています。日本でも一部の動物病院で治療が行われており、寛解(症状消失)の報告が増えています。ただし、治療費は高額(50万〜100万円以上)で、治療期間は12〜16週間かかります。
予防策として、①ストレスの軽減(免疫力の維持)、②多頭飼い環境の衛生管理、③新しい猫を迎える際の隔離期間の設定、が重要です。
ウェット型FIP:腹部の膨満、呼吸困難(胸水)、発熱、食欲低下
ドライ型FIP:目の濁り(ぶどう膜炎)、神経症状、肝臓・腎臓の腫大
GS-441524治療:12週間の投薬で寛解に至ったケース